我らがバイヤー、三代目亀川雅史がオススメする絨毯を絨毯販売歴40年の佐藤氏とご紹介する人気のコーナー。バイヤー自らが買い付けた手織り絨毯の一押しコメントも必見!是非、新たな1枚を手に入れる参考にしてください。是非、人気のYoutube動画もご覧くださいませ。
今回は、世界最古の都の歴史を背負う「ハマダン(Hamadan)」産絨毯について、その実用的な魅力と素朴な美しさを紐解く紐解いています。
それでは、いってみましょう。
世界最古の都から届く、日常の芸術 ハマダン絨毯の「実用美」
イランの首都テヘランの西に位置するハマダン。シルクロードの要衝として栄えたこの地は、古代ペルシャにおいて「世界で一番古い都」の一つと言われています。周辺には無数の村々が点在し、そこから集まってくる絨毯は、華やかな都市の作品とは一線を画す、独自の素朴さと力強さを備えています。
「シングルウェフト」がもたらす、しなやかな強さ
ハマダン絨毯の最大の特徴は、「シングルウェフト」という伝統的な織り方にあります。 通常のペルシャ絨毯は横糸を2本入れる(ダブルウェフト)のが一般的ですが、ハマダンはあえて1本に絞ります。裏を返すと縦糸の白い点々が透けて見えるのがその証です。「薄いと耐久性に欠けるのでは?」と思われがちですが、佐藤氏によればそれは誤解です。この技法により、絨毯は驚くほどしなやかで軽く、女性一人でも簡単に畳んで持ち運べるほどの扱いやすさを手に入れています。それでいて、数十年、数百年の使用に耐えうる実績が、その強さを証明しているのです。
クルドウールと草木染めが描く「アブラッシュ」
ハマダンの品質を支えているのは、近隣のクルデスタン地方で育つ「クルドウール」です。非常に強く、触れると「しっとり」とした良質な油分を感じさせるこのウールは、まさに普段使いに最適な素材です。
また、今でも多くの作品が草木染めで仕上げられています。マダー(茜)の赤、インディゴの青、そしてアイボリーの3色を基調とした色彩は、化学染料にはない優しさを湛えています。 さらに、天然染料ゆえの染めムラ「アブラッシュ」が、使い込むほどに味わい深い「景色」へと成長し、持ち主と共に時を刻んでいく楽しみを与えてくれます。
暮らしに寄り添う、直線的なデザイン
ハマダンの意匠は、都市部の緻密な曲線美とは対照的に、直線的で素朴な文様が中心です。 メダリオンやヘラティ(マヒ)柄といった伝統的なモチーフが、どこか懐かしさを感じさせるタッチで描かれます。
その気取らない美しさは、現代の日本の住まいにも見事に調和します。「子供や動物がいる家庭で、ガシガシとタフに使ってほしい」と佐藤氏が勧める通り、キッチンやリビングなど、「生活の道具」として使い倒すことで真価を発揮するのがハマダンの真髄です。
最後に マニアを虜にする「素朴な贅沢」
「マニア向けの一枚」と佐藤氏が評するように、ハマダンには見る者をホッとさせる不思議な魅力があります。 豪華絢爛なブランド品も良いけれど、日常の足元に、歴史ある都の「しっとりとしたウール」と「優しい草木染め」を迎え入れる。そんな気取らない贅沢こそが、ハマダン絨毯が長く愛され続ける理由なのかもしれません。
色を成長させ、家族の物語を吸い込んでいく・・・。そんな一生モノのパートナーとして、ぜひこの素朴な名品に触れてみてください。
◎ご紹介した絨毯
ペルシャ絨毯ハマダン産
223×141サイズ
(オンラインギャラリー掲載なし)