ギャッベ(GABBHH)とはペルシャ語で『毛足の長い絨毯』という意味です。
もともとはイラン南西部のザグロス山脈に住む遊牧民(カシュガイ族)が暑さ寒さをしのぎ快適に暮らすため、テントの下に敷くラグで、生活道具でした。
砂利や土の上に敷くため、お尻が痛くならないよう、毛足(厚み)が長く作られています。
遊牧民の女性が植物・風景など自然をモチーフにして感性で織り上げる、全て1点モノの世界に一つの絨毯です。
近年欧米を中心にデザインの芸術性に注目が集まり始め、また2012年には伝統的な織りの技法がユネスコの無形世界遺産に登録されたことから、日本でも雑誌やTVで紹介され広く普及するようになりました。
▼ギャッベのつくり方を現地取材してきました!
よく『ペルシャ絨毯』と『ギャッベ』は何が違いますか?と聞かれるのですが、イラン(昔のペルシャ地方)で手織りされた絨毯をペルシャ絨毯と呼びますので、ギャッベもペルシャ絨毯です。多くの方がイメージするペルシャ絨毯は都市(街)で織られており、唐(から)草・蔓(つる)草や花(アラベスク)文様などイランの伝統的な図柄が使われているのに対して、ギャッベはカジュアルで親しみやすい素朴なデザインです。
ただ近年は遊牧生活を送る人は少なく、ほぼ定住してギャッベを織るため織子の技術が向上し、かなり複雑なデザインも多く、ギャッベとペルシャ絨毯の境目は徐々に無くなってきています。また最近は本場イランではなく、インドや中国で作成された言わば模倣品ともいえるギャッベも存在していますので注意が必要です。
イラン(ペルシャ)南部のシラーズ・ザグロス山脈に生息する羊の毛が使われています。
標高2500mもの高地で、朝晩の寒暖差が30度以上ある過酷な場所で暮らす羊の毛には油分がたっぷりと含まれています。
暖かい空気を溜め込み、湿気は外に発散する機能に優れているため、夏も冬も季節を問わず1年中敷きっぱなしで快適に使用いただけます。
また通気性にも優れているので、床暖房やホットカーペットとの相性も抜群で、ラグにギャッベを選ぶことでフワッと柔らかい触り心地となり、床の上でも気持ちよく過ごすことができます。
イランの厳しい環境を生き抜く羊の毛質が絨毯に適しているため、ギャッベも含めたペルシャ絨毯は世界中に輸出されているのです。
ギャッベに使われる糸は全て人が手作業で紡(つむ)いでいます。
原始的な工具を回転させ手元から毛を少しずつ押し出すようにして糸にしていきます。
手先の微妙な感覚が必要となるため、習熟した人でも1日約500グラムの糸を紡(つむ)ぐのがやっとの時間と根気のいる仕事です。
地面に置いた織り機に乗り、下絵もなく感性を織り込むことで自由なアートが生まれていきます。
経(たて)糸に一目一目色糸を結びつけることで文様を織り込んでいきます。
この伝統的な技法が数千年前から変わらず継承されてきていることから、2012年にユネスコの無形世界遺産にも登録されました。
天然の草木をパウダー状にして、手紡ぎの糸と一緒に入れ煮立てることで着色していきます。
全て自然の色で染められているため、敏感肌やアレルギーの方にも安心してご使用いただけます。
また手紡ぎの糸は均一な細さではないため、染色時に糸ムラ(英語では「ABRASH(アブラッシュ)」と呼ぶ)が発生しますが、それが手作りで親しみのある風合いとなります。
ただギャッベに人気が出た近年は化学染料を使って染色しているメーカーも多いため購入時にお店の人に確認するのが良いでしょう。
1年中敷きっぱなしでお手入れは掃除機のみでOKです。密度が細かく、モノをこぼしても中まで入り込まず、表面に浮いているだけなので、それを掃除機で吸うだけです。
また通気性も抜群で風を通すので、ダニやノミ等の虫を心配する必要もありません。
親から子、子から孫へと三世代で引き継いで使っていただける、まさにサステナブルな絨毯です。
遊牧民がギャッベに織り込むモチーフ(絵柄)の多くは家族の幸せと繁栄を願って描かれたものです。
例えば「生命の樹」は「健康・長寿」を、「羊」は『財産」、「ザクロ」は「子孫繁栄」といった感じです。
ギャッベの絵柄の意味を知ると、ギャッベに一層、愛着が湧いてきますね。
詳しくは以下にまとめていますのでぜひ参考にしてください。
ひとえにギャッベといってもメーカー(工房)はさまざまで、メーカにより毛質や糸の細さは違います。
一般的に手織り絨毯のランクは織る(結びつける)糸の細さで決まります。糸が細いほど同じ面積でも結びつける回数が多くなるため、時間もかかり値段も高価になります。
糸の細い・太いは絨毯の裏を見れば分かり、糸が細いほど絵柄もはっきりと描け、また織り密度も高く肌触りも良くなります。
ギャッベも含めたペルシャ絨毯のサイズにはおおよその規格があり、それは縦:横の比率が3:2というものです。
基本的にこの規格を保ちながら、大きくなるのですが、細長いサイズや座布団サイズなど例外もあります。
オンラインギャラリーに今ある在庫を掲載していますので、ぜひご覧くださいませ。
「ゾランヴァリ」とはイランの絨毯メーカの名前です。
絨毯商人「ゴラム・レザー・ゾランヴァリ」さんが会社を設立しました。
もともとイラン国内では絨毯としての扱いを受けていなかったギャッベを遊牧民から定期的に買い付け、
ギャッベの品質管理のアドバイスを繰り返し、ギャッベを世界中に普及させています。
ゾランヴァリギャッベは現在、品質・多彩なデザイン性、芸術性が高く評価された世界NO1のトップブランドでもあります。
当店では長年の経験からゾランヴァリ社のギャッベを自信を持っておすすめしています。
お気に入りの1枚を見つけるのは大変ですよね。
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